藤森先生観察日記10

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とめどなく流れる涙を袖で拭い、先生を見つめました。 優しく包みこむような表情で見つめ返してくれる先生。 でも、その手がかすかに震えているのが、私には見えていました。 その震える手に触れたい、という思いが沸きあがりました。 先生に、触れたい。 先生に、近づきたい。 気持ちが抑えきれなくなって、私は二人の間の空間に両手をつき、先生のほうへ身をかがめました。 「先生―――近づいても、いいですか」 先生は目を瞠り、くすりと笑います。 「………また、先に言わせちゃったな……」
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