甘い蜜と午後3時

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料理が仕上がったところで、外にいる彼を呼びに行った。 かなりヒートアップしながら電話で喋ってたから、遠慮がちに「飯だぞ」って言ったんだけど、途端にいい笑顔になって速攻電話を切った。 「もう飯の時間か!呼びに来てくれてありがとうハニー!」 「え、あの、電話切ってよかったのか?」 「いいんだ! この瞬間に、お前との飯以外に大事なことなんてありゃしないさ」 そのまま肩を組んで中に入る。 「もー!バカンスまで来て仕事しないでよ!」 シェフがまだプリプリしていた。 「ハニーは反対しないからいいのさ!な、ハニー? それに大した仕事もしないからな!」 矛先が俺に向くけど、仕事しようが何しようがどうでもいいから「まぁね」と適当に相槌を打つ。シェフには「そういうトコ甘やかしちゃダメよ!」とお叱りを受けたけど。 悶絶するほど美味い飯をたらふく食べて、そのままソファに横になろうとしたんだけど、シェフに言われたことがふと気になって、テーブル挟んだ正面で食後のワインを楽しんでる彼に声をかけた。 「なぁ、あのさ」 「ん?どうした、飲むか?」 「いや、違う、あのさ」 我ながら変なことを言うと思いながら、言ってみる。
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