第8話 さびしさと切なさと心強さと

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『やって来ました豊橋駅です!楽しみです!はぁはぁものです!』 テンション高いな~。明らかに寝不足覚醒蘭子だ。正直僕も眠い。 早朝に起こされて、朝イチの新幹線で愛知県へ行き、乗り換えで豊橋駅まで来たしだいだ。 ちなみに蘭子は僕を起こす前には既に二人分の弁当を作っていた。 『まずは駅弁を買いましょう!』 弁当を作ったんじゃないのか? 『駅弁は朝ご飯で、このお弁当はお昼ご飯です!道中に売店やコンビニが無いとの情報なので!』 僕をどこに拉致する気だ? 『それはこれです!』 蘭子が指した先には列車が停車していた。 また移動か... 『違います!目的地はこの列車でございま~す!』 日曜の夜定番で良く耳にするサザエでございますの似てない声真似を披露する蘭子。 列車を見ると急行飯田線秘境駅号と書かれていた時点で僕は納得した。 さかのぼる事3日前、鍵を掛けたはずの僕の部屋に侵入者の痕跡があった。 本棚に有ったはずの漫画(鉄子の旅)全巻と テーブルの上に平積みされた隠してあるはずのエロ本。 思い出しただけでド勘弁してくださいと土下座をしたくなる様な出来事があった。 『今回は6つの駅に降りて駅舎と風景を堪能します!』 そして今さらながら気付いた。 これはマジなデートだと。
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