第4話 副社長室で!?

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第4話 副社長室で!?

運命の日の8月1日 私は、グレーのスーツに身を包み 秘書課のドアを開けた 一斉に秘書課の人たちが私を見つめる。 課長が手招きで私をみんなの前に呼ぶ。 「本日秘書課に配属された松本来夏です。よろしくお願いいたします。」 深々と頭を下げる。 「よろしく。がんばってね。」 「大丈夫?副社長かなりわがままだけど、がんばって」 先輩たちから心配の声がかかる。 「はい。まだまだわからないことだらけですが、精進して参りますので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。」 パチパチ・・・ 温かな拍手で受け入れられる。 異常な人事だったけど、職場環境は良さそうでほっとした。 「じゃ・・悪いんだけど、早速、副社長に、挨拶して仕事初めてもらってもいいかな?」 眼鏡をかけたちょっと気の弱そうな秘書課長が、わずかばかりだが同情のまなざしを私に向ける。 そのまま、何も考えないようにしてエレベーターで役員フロアーに移動する。 意を決して 副社長室の前に立つ 社長室、副社長室並びに取締役室がある この十七階のフロアーだけはヒールが食い込むほどのフカフカな絨毯が敷き詰められているフロアーだった こんなの歩きにくくて仕方がない! 男性にはわからないんだろうなー。 ちょっとオコ状態だが 会社命令なのだから仕方がない。 コンコンコン ノックは三回。 二回だとトイレのノックになっちゃうからね。 なんて独りごちながら ノックをする 中からはなんとなく人の気配はするが声が聞こえない そんなに扉厚いんかい? と思いながらもう一度ノックをすると ガサゴソと人の気配がする 「副社長?入ってもよろしいですか?」 とすこし大きめの声を出すと 中から 「あっああ」 すこし焦った返事が聞こえる。 了承をもらったのだからとドアを開けると ピンク色のブラウスの前のボタンを 慌てて留めながら背中を向ける 元秘書の姿があった 短いスカートもまくり上げられたままで そこから若さだけを強調するような生足が見えた。 五十嵐という名の秘書は、来夏から目をそらし、あわてて身支度をする。 まっまさか!!! 真昼間から 仕事中に それも 自分の部屋で情事ですか? もう目が点になるしかない‥
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