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状況が理解出来なかった。
二日酔いの頭痛のせいで、
頭が回らない。
たしか・・・
会社への遅刻の言い訳を考えながら、
昨夜の事を振り返っていた。
「 あぁ、昨夜は飲み過ぎた。」
いつもの時間なら、あそこの座席に座って
少しでも体を休めるのだが、
さすがに、この時間になると車内も混み合い
見知らぬ男が座る自分のいつもの指定席を
ただ、見つめていた。
「きっとこの時間帯は、彼の指定席なんだろう。」
ドアに背を向け、もたれかかり少し目を閉じた。
昨夜は仕事を終えたタイミングを見計らう様に、
一樹(かずき)からメールが入った。
「 集合。いつもの店で!!! 」
今日は3人か、
「 ! 」の数で、その日の人数を
知らせてくれる。
一樹以外のメンバーは、
着いてからのお楽しみだった。
20時を回った頃、店に到着し一樹を探した。
店の名前は、
「 酒処 わびさび 」
カウンター8席と、
テーブル席が6つ程のそれほど広い店ではないが、
料理の味が良いのと、
店のレトロな雰囲気が気に入り、
常連となっている。
「 よっ! 啓(ケイ) ちゃん。
こっちこっち。」
「 今夜の主役のお出ましだ。 」
店内に一樹の声が響きわたる。
「 おいおい、ちゃかすなよ。」
同席している男性が、振り向きながら
軽く頭を下げた。
「 誰 だろう? 」
軽く会釈はしたが、見覚えのない顔だった。
「 取りあえず生中1つ。
いやっ、3つ!
おかわり、おかわりっ。。。 あと、焼き鳥追加で。」
2人のグラスは、もう底が見えそうだった。
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