見習いエリーの黙示録《アポカリプス》

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 町はずれに在る寂れた石造りの家。今夜もその煙突から、もわもわとブロンズ色の煙が立ち昇っている……。 「トーカゲーのしっぽ♪ それから目玉♪ マンドーラの根っこ♪ まぜまぜグツグツ煮込みますー♪」  材料と一緒に、その娘の鼻歌も釜の中。大釜の底をこするように、長い木べらでゆっくりと掻き混ぜるのが良い魔法薬を作るコツらしい。  柔らかなローズピンクの長い髪に(ノワール)の三角シャポー、洒落たドレスローブも同じ漆黒。このスタイルは、魔女見習いである彼女ならではのトレンドだ。 「エリー、その魔法薬っていつまで煮るんだっけ」  斜向かいのテーブルで頬杖をつきながら聞いてくるのは、スカーレットの赤髪を持つ小さな男の子。  こちらは至ってシンプルな白シャツとズボン姿だが、エリ―を見つめるくりくりした瞳がなんとも愛らしい。 「三日四晩煮込むから、あと二晩。飽きちゃった? プート」 「べーつーにー」  椅子から垂れた足をブラブラと揺らし、プートはツンとそっぽを向いた。その視線の先には、壁際にズラリと並ぶ本棚に詰め込まれた多くの魔法書。  ここはそんないわくつきの本を専門に取り扱う店だ。
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