厄日

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入る。上層階は宿泊施設とレストランとバー。その下が会場のフロアだろう。下から上がるにはやはりセキュリティー管理室を奪い返してロックを解錠しなければ突入制圧に時間がかかりすぎる。 「なぁ、お前の母親はセキュリティー管理室を奪い返せるか?」 「答えはすぐ出ると思います」 奏はひどい顔でかすかに笑った。 屋上から下を眺めると警察が突入を開始したようだった。 ーどのくらいで帰れるかな、と考えだして上着をつつく存在に気づく。 「なんだ?」 ひどい顔をした奏が上目遣いにもじもじと 「あの、まだ早いって分かってるんですけど…本屋で強盗から助けてくれてありがとうございます」 仕草も言ってる事も可愛いものなのだが崩れたメイクの顔はいかんせん酷かった。 笑いを堪えながら奏に向かい、つい目元近くの頬をぬぐいながら。 「いいんだ、よく耐えた」 NBCテロ現場進行中で警察が制圧行動中のなかここはひどく平和だった。 その後、テログループは制圧され、俺は職場で報告書と強盗の件で始末書を書いた。 厄日に本屋併設のカフェで知り合った黒ずくめの痩せっぽちは俺のストーカーになった。 いわく恋をしたらしい。それとヤツは女装男子と言うやつでモデルであの事件会場にいて救出された人質の一人で奏の姉その2が華麗なメイクテクとファッションセンスで呆れるほど化けた女装男子が唯一持ってるセーフハウスに侵入する事態が恒常化しつつある悪循環におちいっている。違法行為を注意しようにも小癪にも 「14歳の男子児童とただならぬ中になってる」と脅迫。それを言われると、好き好きと14歳男子児童が周囲にはばかる事なく関わってくるよりセーフハウスに侵入されるくらいはまだましかと判断がグダグダになる。 ー好意自体は悪い気はしないんだが… 兎に角あの厄日以来チートなストーカーが俺には出来ました。 〈おわり〉
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