11−2 そして父になる 

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 車に戻り、買ったものを助手席に無造作に置く。路駐していても差し障りのなさそうな脇道で車を停め(時間帯もあって車通りはまだ少ない)、まずは豚バラ焼肉おむすびを開封しつつ、ノーパソを操作する。 『お、これはうまい! 朝ラーは勘弁だが、豚バラ焼肉おむすびは全然イケる俺の胃袋万歳!』  おむすびを咀嚼しながらペットボトルの蓋を開け、事務所のグループウェアを確認する。お茶を一口嚥下し、昨日のスケジュール表を確認すると、楓が書いたらしい天への特記が目に飛び込んできた。 いわく、 {邑瀬くんのワンマンライブがもうすぐです。所長も天音くんも、その日までには帰ってこれるんですよね? 彼、とっても緊張しているみたいです。うまくいく気がしないって言ってます。所長からなにか……激励のメッセージを送ってあげてください} 「はぁ? なんだそりゃ!?」  思いがけず声が出てしまう。諒も諒だが、こんなことをわざわざ書いてくる楓も楓だ。明らかに噴飯もの――よかった、飲み込んだあとで――楓はどういう立ち位置なんだこれ? 大笑いするもふと思い立ち、天音にLINEする。 {ワンマンライブまぢかな諒兄ちゃんが大ピンチらしいぞ(笑)おまえからなんか言ってやると喜ぶかもしれん}  自分が何やかんや言うより、そっちのほうが何倍も効果がある――そう思った天であった。
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