運命を導く本

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「フフッ……残念でしたね。脳が狂い、魂が死を受け入れるまでに数時間といったところでしょうか」 『苦しんで死ぬって、最悪だな!』 「単純に考えれば良かったのですよ。本は確実な未来へと導く……例えば、野球選手を選べば奇跡的に助かって野球選手の未来を歩めたし、金持ちを選べば事業を成功させるなど巨万の富を得る人生になった。でも、不滅の肉体では状況を変える必要なんてありません。まあ、命を懸けた選択で単純な答えが出せる人なんて少ないでしょうけどね」 『不滅の肉体はどうなるんだ?』 「勿論、あのままですよ。放置され続けても腐らず、鳥に食べられても消化されません。噛み砕かれてもバラバラになっても、どんな形になろうが肉体は土に還れない……さあ、不滅の肉体から魂が抜けるまで、ゆっくりと待ちましょう」 【完】
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