それでもキミが

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「で、なんでなの?どっか飛んでないでよ」 あたしが昔を思い出してると目の前でマサが手をパンッてする。 「ごめん。飛んでた」 「どうせ、初めて話した時のことでも思い出してたんだろ?」 「うん、でもあれが初めてじゃないよ」 どうしてここまでこの話をしてこなかったのか謎だけど、何度だって話す瞬間はあったとおもう。 「どういうこと?」 「部活紹介よりも前にマサに会ってるの」 「え?」 マサがびっくりしたようで目を見開く。 「ふふ。覚えてないよね?」 「まったく。どこで?」 「駅前の本屋さんで、あたしの届かなかった本を取ってくれたのがマサだった」 あたしの言葉にやっぱり覚えてないようで怪訝な顔になる。 「そんなことした記憶ないなぁ…」 「されたんだもん!マサにとってはたいしたことなかったんだよ」 「それが里利子なら覚えてそうなんだけどなぁ」 〝うーん〟 って考えるマサがかわいい。
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