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ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
海を見ていた。寄せては返す波を。
辛い時、哀しい時、いつも見ていた。
ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
胸が張り裂けそうに悲しい時。
辛くて辛くて、でも誰にも言えない時。
そのグチャグチャした感情を胸から
スッパリとナイフで切り取って、
それを波に乗せるイメージをするのだ。
そうすると、
波が、母なる海で綺麗に浄化してくれる。
そんな気がした。
例え、現実には何も変わらなくとも。
ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
規則正しく刻み込まれる波音。
それは時に激しく白波を立て、そして水面(みなも)に消えていく。
さながら地球のリズム、
ひいては宇宙が織り成す生命の鼓動に感じられた。
自分の悩みなど、宇宙から見たらなんとちっぽけなものだろう?
そう思えた。
だから、大抵の事は、これで対処できた。
ザザー…ザブン…ザザー…ザブン…
…そう、大抵の事は…
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