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「まったく、何が"君の色は何色"よ……。
『きっと赤だね』って……、
気色悪いったらありゃしない!」
身の毛もよだつ思いに、ぶるると身震いをする。
「顔さえフードに隠してなかったら、
見つけて警察に突き出してやったのに!
あー、もう忘れよう。」
歩行者信号が青に変わると、人々は一斉に道路を渡りだす。
彼女もまた、歩行者信号に合わせるように、思考のスイッチをオフにして、
人波の流れに任せなががら対岸へと渡る。
交差点の中央まで来ると、再び先程の記憶がよみがえる。
「だいたい、赤なわけないでしょ!
欲求不満じゃないんだから……。」
もう大丈夫という安心感が、
彼女に怒りの感情をふつふつと沸き立たせる。
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