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今日は満月だった。
夜遅くに公園の池に揺れる満月を見に来ていた。
可笑しなものね、私は闇の一族の末裔……人の闇を喰らう存在なのに誰よりも月明かりを求めている。
……感じる、闇を持つ人の気配だ。私は公園の奥に静かに歩いて行く。
やがて、人影が見えて来る。
それは少し背の低い制服を着た少女であった。
私は少女に声をかけた。
「月明かりしかないこの闇夜に何をしているの?」
「あなた……綺麗ね。でも、人ではなくてね、死の使い?」
「いいえ、人の闇を喰らう存在」
「そう、それは残念。私は死を望んでいるの……」
少女は嬉しそうに自らの死を語った。
そんな少女に私は少し昔の事を思い出していた。
「魔女ならば自らの死の願いを叶えてくれるわ」
「なら、その魔女を一緒に探してくれない?」
私は今、ここで少女の闇を喰らい立ち去る事も出来たがこのままではいずれ魔女に喰われてしまうだろう。
気まぐれなのかもしれないが私はこの少女を魔女から守る事にした。
「私の名前は葉月、月明りさえ葉で隠して闇に生きる存在」
「そう、私の事はミチルって呼んで」
少し夜風が出てきた湖面の月が揺れていた。
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