episode223 奪い合い①

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現れた 「征司お兄様――」 一瞬で空気を緊張させる 天宮家の王様。 長い指でワイングラスの頭を鷲掴み 悪戯にグルグル回すと 「続きは?」 意地悪く口端を上げて 閉口する僕を促す。 「あの、征司様もよろしかったらぜひご一緒に」 「僕が?お嬢さんたちと恋愛談義を?」 「ええ、ぜひ」 モデル顔負けの立ち姿 洗練されたファッションだけで 女の子たちは圧倒され頬を紅潮させる。 「どうかな、僕の恋愛観は――少し偏っていてお嬢さんたちには刺激が強すぎるかもしれない」 その上 身に纏う退廃の空気と 優雅な威圧感がそれだけで 「……ぜひ教えて下さい」 「お願いします……」 関わる人間に特別感を与えるんだ。 「じゃあ少し座ろうか」 この人に構ってもらえたというだけで――。
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