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小便を出し終えたマネコは、ずり下ろしていたパンツを定位置まで上げる。少々、小便の飛沫が股間周辺に付着していたような気もするが、あまり気にしないでおこう。気を取り直し、セメルは改めて彼女と挨拶を交わす。
「僕は王蔵攻。セメルでいいよ」
「私は虎玉愛猫。マネコと呼んで下さい」
「ふぇら? マナコなのにマネコ?」
「ああ、本名はマナコなのですが、マネージャーのマネと掛けてマネコと呼ばれることが多いのです。最初は嫌というか恥ずかしかったのですが、慣れてくると逆にそう呼ばれることが嬉しくて。何というか、愛されている感じがするのです」
それは、先程の野外放尿に関しても同様に言えることではないだろうか。しかし、それを言及することは野暮というものだろう。野外なだけに野暮。お後が宜しいようで。
しかし、愛されている、か。まあ、愛称というくらいなのだから、愛されて称されているのだろう。しかし、愛称と蔑称というものは紙一重だ。
愛称だと思っていても実は蔑称だったり、
蔑称だと思っていても実は愛称だったり、
当人の受け取り方次第なところがある。
それゆえに、呼称というものは難しい。
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