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いや、一応俺も魔王とか言っちゃってるから、それなりにイロイロ耐性はあると思うの。先日も村の外にいた、でっかい牙の生えた、豚みたいな魔物を倒しちゃったりもしたし。あの時の鍋は美味かった――いや、そうじゃなくてね。
なんといったものかと、俺は助けを求めるように辺りにオーラを送りつつ、言葉を探した。ついさっき許さんとか言ったものの、この勇者ガチでヤバそうなんだもん。
に、逃げちゃダメかな。ダメ?
そして冒頭に戻っちゃう感じでお願いします。魔王ピンチ。
「お前、名前は?」
イケメンは声もいいんですかね。深く、染み入るような低い声は、まるで音楽のようだ。
もちろん答えてやる義理はない。
「これ、リト! 勇者さまに失礼な!!」
「ってぇ!!」
ぷいっと横を向くと、ばぁちゃんの声とともに、後頭部にすごい衝撃が来て、俺は思わず頭を抱えた。
なんか今、ドスっていった!! ドスって!!
呻く俺のそばに立ったばぁちゃんは、こぶしを握り締めて俺を見ている。
「初めての人には礼儀正しく。ちゃんと礼儀を守らないと、ばぁちゃん殴るからね」
「もう殴ってるじゃん!」
魔族だから少々のことじゃ死なないけどね! 普通の人間なら首曲がってても不思議じゃないよ。
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