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青白い光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
近頃、目覚めた時は、どうしてか、涙が頬を伝っている。
その前に何かとても悲しい夢を見ていたようなのだが、泥のように寝ている沙耶は、起きがけの夢を思い出すことができない。
ミリとの約束通り、あれから石垣とは会っていない。そもそも、忙しそうだったから、日本にはいないのかもしれなかった。
沙耶は、坂月の計らいで、梟王の近くのマンションに住まわせてもらった為、通勤の負担がなくなり、疲労もかなり減った。
駿は、高校最後の年がスタートし、あの田舎で一人暮らしをしてくれている。
母の容態も安定していて、このままだと一時退院もできるかもしれなかった。
全てが、順風満帆だ。
いつになく。
ーさて、支度しようか。
涙をパジャマの袖で拭うと、沙耶はベッドから身を起こす。
近くだから、こんなに早く起きなくても良いのだが、以前と同じ時間に起きてしまう自分がいた。
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