海の街へ

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「みなとー早くここの荷物解いちゃって、邪魔。」 一階から母が大きな声で急かした。 あんなに大きな声出さなくても、聞こえるっていつも言ってるのに… 「はいはい、今いくよ。」 やりかけのスマホゲームを中断し、のそのそと下に降りて行く。 台所では母が大量の食器をガチャガチャいわせながら、忙しなく片付けている最中だった。 「みなと、あんたとりあえずそこの自分の荷物と、それから渚の荷物も持ってってあげなさい。」 「え、なんで俺がなぎの分まで…」 「あんたお兄ちゃんでしょ! どーせゲームばっかやってたんでしょ。 高2にもなってちっとも役に立たないんだから。 こんくらいやったげなさいよ!」 だいたいいつもあんたは… といつもの母の集中砲火が始まった。 何故かゲームをやっていたことまで見抜かれてしまっている。 あぁ、うるさい。 皿の音も、母の声も。 「わーった、わーったから。」 母の終わらない説教を背中で受けながら、段ボールを抱えて二階へと慌てて逃げた。
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