1.人類絶滅ハットトリック

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1.人類絶滅ハットトリック

「私、人類を滅ぼすことに決めました!」 ってのが、1か月前の今頃で、もうすでに、殺人蜂、殺人ドローン、サイバー人工知能の洗脳という”人類絶滅ハットトリック”を実行中――…。 あっ、唐突過ぎたわね。うふふ。 経緯をちゃんと説明しないと、理解してもらえないわよね。 ええと……。 私、桃瀬(ももせ)ユウは、小学校からずっといじめられてきたの。 同級生にも、先生にも、近所の大人達にも…。 両親は、私が生まれてすぐに亡くなったらしくて、親戚か何か知らないけど、2人の大人に育ててもらった。 お世話になってる身で、相談までするのは迷惑だと思って、私はいつも静かにしてた。 それでも、シンデレラみたいなことがあるって、私は信じて頑張って来た。 中学の時には、初恋の男子に嫌われて、汚いとかもっと酷い事も言われてたわ。 ボロボロにされた私の写真は、SNSで世界中に広まってる。 高校では気配を消して過ごしたわ。 でも、成長するにつれ分かった。 大人も政治も、世界中、嘘ばっかりだ。 私は1年留年したけど、何とか高校を卒業した。 そんな私でも、優しい夫婦が、小さな町工場で雇ってくれた。 夫婦は、佐崎おじさんと佐崎おばさん。二人三脚でパソコン関連の部品を作る工場を経営してた。 佐崎夫婦の夫は、プログラミングが趣味で、独自の人工知能を作っていた。 そんな職場で働き出して一か月後、佐崎夫婦の息子さんが工場に顔を出した。 まだ彼は高校生だったんだけど、私は彼に恋をしたの―――。
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