1.人類絶滅ハットトリック

2/6
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
当然、私なんかじゃダメだって思ったから、告白はしなかった。 だけど、彼との未来を妄想してて、未来予測人工知能を思い付いたの。 そこから、凄い勢いで、佐崎夫婦と私は、未来予測人工知能の開発を進めた。 世界中の政府や企業が様々なデータを公開することが義務付けられていたから、それらのデータを人工知能に解析させて、未来を予測させた。 もうダメだって苦難を何度も越えて、私達は未来予測人工知能、future predictive AI、つまりFPAIの開発に成功したの。 世界中のSNSや経済のデータなどから、世界の未来を予測して、いい世界にするための提案をしてくれるものよ。 これを全世界の国と自治体に売れば、世界がよくなると思った。 凄い発明をしたと思った。 だけど、佐崎夫婦の工場はすぐに潰れた。 銀行が、寸前でお金を貸してくれなくなったの。 佐崎夫婦と私の開発した未来予測人工知能、FPAIは、まだ多くの人の理解を得るには早過ぎたようだった。 年功序列に囚われ、イノベーションの芽を潰すこの国の風潮、人間の自己の地位や年収を守りたい本能が、主因だろう。 正しいことが、間違いだ、危険だと判断される…。 うまく行けば、息子さんに告白できる私になれるとも思ってたんだけどね。 そして、とうとう佐崎夫婦の夫は過労で亡くなった。 私がきっと無理をさせた。 うつ病になった奥さんに、大好きなチョコレートを買いに行って帰ってきたら、奥さんはリビングで薬を飲んで自殺をしていた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!