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どれほど僕が嬉しかったことか。
今日来たのは、取り寄せをお願いしていた本が届いたって言われたからです。
「ああ、はい。届いてますよ。お待ちくださいね」
そう言って、彼女は僕に背を向けて歩き出す。
僕はその後をゆっくり追いかける。
付いてきている僕を見て、少し驚いた顔をしたけれど、すぐににっこり笑ってくれた。
本棚の森を二人で仲良く散歩。
「あの作家さん、好きなんですか?」
好きです。
「そうなんだ。私も今度、読んでみようかな」
機会があればぜひ。
……そう、機会があれば。
「え?」
いえ、何でも。
不思議そうな彼女の顔。
僕は笑う。
彼女も笑った。
幸せなひと時。
散歩は終わり、目の前に彼女と僕を隔てるドアが現れた。
関係者以外立ち入り禁止。はっきりとそう書いてある。
「少しお待ちくださいね」
彼女はそう言って、バックヤードへのドアを開ける。僕は彼女の背中を思い切り押す。
「えっ?」
そのままバックヤードに彼女を押し込み、鞄に入れていた包丁でその柔らかい背中を思い切り突き刺した。
「ぎっ……」
悲鳴を上げようとした口を、僕は手で塞いで、そのままさらに包丁を押し込む。
ズブズブと肉に刃が入り込む手ごたえ。
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