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病室はナースステーションの隣。緊急対応の必要な患者だ。あらゆる意味で。 「三井さん、入りますよ」 ベッド数は二つ。窓側の方のカーテン仕切りを引き分けて中に入ると、痩せ細った男性が項垂れてベッドサイドに腰かけている。 病院の打ち掛け寝巻きの紐をきちんと結んでいないのか、胸元から下、丸見えになっている。左足の浮腫が半端ない。 「初めまして、三井さん。今日から担当させて頂きますリンパ内科の木下と申します。宜しくお願い致します」 頭を下げるが、返事はない。 「三井さん」 見かねた師長が声を掛ける。 「俺はガンなんだな」 直球だな。 しょうがない。 このまま告知とインフォームド・コンセント、病状説明しよう。 この病院のもう一つの機関。 それはガンの先進医療研究を行う施設を備えたガン医療センター。 陽子線によるガン治療の研究や新薬の治験なども行っている。ホームクリニックや他の総合病院からここを紹介されて入院してくる患者も多い。 ここの病院に入院していると言うだけでガンをイメージする人々もかなりいるようだ。
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