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STORY1 枯れてしまうには早すぎる
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「エトさん、いまやアーティストは映像で勝負する時代ですよ」
背中を丸めた江頭(えがしら)順平に、年下の神門(かんど)ヒロキがYouTubeを開いて囁く。
江頭はギョーカイ村の古くからの住人で、神門は新参者だ。
同じ干支でひと回りの年の差だが、風貌と物事への価値観は年齢以上の隔たりがある。
スマートフォンの中で、スパンコールのジャケットを着たアフリカ系アメリカ人がマイクを構えた。
新着のプロモーションビデオだ。
歌唱の始まりで着流し姿のアーティストが日本刀をかざす。殺陣。ぼたん雪。港町……映像がカットを複雑に重ねる一方で、メロディは4分4拍子の単純な音符を紡いでいく。
「なかなかいいでしょ?」
出し惜しむ様子で、神門は再生を止めて、顎を上げた。
イブニングタイムにビールバーになるカフェの2階で、ふたりは頭を突き合わせている。たくらみを周囲に漏らさないよう、声を潜めて。
「黒人が演歌?」
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