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那月は俺に遠慮してね、さゆに言えてないんだ。あいつはさ、昔からそうなんだよ。俺のことばっか、気遣ってさ。自分のことはいっつも後回しで。何でもないような顔して、俺のことばっか考えてた。
それをわかってて、俺が言ったんだ。天体観測行くって話した時に、那月にさゆが好きだって。最後に思い出くらい作らせてくれって。そうすれば、那月が折れてくれるってわかってたから。
那月は本当にいい奴だよ。たぶんあんなお人好しはなかなかいない。きっと誰より、さゆを大切にしてくれる。
俺にはわかるんだ。俺は那月の親友だからね。その俺が保証するんだから、絶対間違いないよ」
理久は自信満々にそう言い切って、笑った。
そして、いつかのあの日のように、「ねぇ、さゆ。お願いがあるんだ」と続けた。
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