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…………。
「信じられねー」
なんて奴らなんだ。
「秀」
くしゅ、と背後で音がした。
「あ、これ着るか?」
自分のコートを脱ごうとする。
「いい。それじゃ秀が寒いじゃん」
「じゃ、ベンチに座るか?」
「ベンチも冷えてるよね」
「毛布が2枚あるから、ひとつ下に敷こう」
ったくなんて気が利くやつなんだ、博史は。
毛布を敷いて綾を座らせ、俺も隣に座り、もう一枚の毛布を拡げて綾の腰から下を包んでやる。
「寒いか?」
「……もっとそっち寄っていい?」
「いいよ」
ぴた、と綾の体が俺の体に寄せられる。
あああ、なんという状況。
あいつら絶対にこうなることを読んだな。
ええい、もうなるようになれ。
「もっとこっちに来いよ」
綾の肩に手を回し、自分のほうに引き寄せた。
綾が俺の肩にことんと頭を乗せる。
ぷちっ。
俺の頭の中の何かがぶっとんだ。
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