432人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「永里さん!エリイケ様どうでした!?」
「……」
その日の終業時間前。
楢崎主任に用があり、室長とブライダル部門へ行くと、早速聞かれたくなかったことをプランナーの子達は目を輝かせて聞いてきた。
「あー……、うん。みんなが騒ぐのも、わかる気がする」
とりあえず、当たり障りのない言葉でその場を繋いだ。
ここで昔彼と関係を持ってしまったことを口にするつもりはない。
むしろ、絶対に知られたくない。
遊ばれて捨てられたなんて、そんな情けない話、誰にも言えない。
「ですよね!?やっぱり男嫌いの永里さんでも、エリイケ様は魅力的なんだ」
「男嫌い?」
「え、違うんですか?だって永里さん、全然男の話に乗ってこないし、男の影も見えないし」
男性なら、誰でも嫌いなわけではない。
ただ、恋が出来ないだけ。
信じることが出来ないだけ。
いつまでも、臆病なだけなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!