イベリス

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14年ぶりの山本くん。 当たり前だけど、山本くんは大人になっていた。 だけど、線が細くて、すっきりとした切れ長な目で、少しふっくりした唇で。 さらさらの猫っ毛で、白い肌。 あの頃の面影は、きちんと残っていた。 ...やっぱり好きな雰囲気だな。 いや、雰囲気が好きっていうだけで。 別にまた好きになってしまったわけではない。 だって、私は今の山本くんのこと何も知らないし。 ...いや、今からしてみたら、当時だって何も知らなかったんだけど。 だいたいもう29歳。 結婚とかしてる可能性もあるしね。 それに、山本くんは私のことまったく覚えてなかった。 晴人のことは、しっかり覚えてたくせに。 あ、そうだ。 現場に行ったら、晴人に教えてあげようかな。 今日、山本くんが来たんだよって。 私のことは忘れてたくせに、晴人のことはしっかり覚えてたよって。
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