強さ

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強さ

 見慣れたはずの景色が一転、仰々しくざわめいている。  自室の窓辺には携帯端末を手にしたフユが立ち、その隙間からは庭をぐるりと囲んだ緊急車両の屋根が模様のように見えていた。  ユーリはといえば、人質だと言われたとおり手足を拘束され座らされている。  フユの行動は迅速だった。自宅に戻るなり端末の前を陣取ると、厚生省からの通達に返信をする。それもフィフス・サーティの名で。  さらに端末を操作すると、ユーリの携帯端末が緊急通知を受信して鳴り響いた。それは病院で緊急事態が起こった際に通達される職員用の連絡だった。  それは病院を統括する管理システムが何者かによって掌握されたというものだった。呆然と隣を見れば、フユがどこか照れたように笑ってみせた。  それは、まさにアキが持っていた知識だ。ナツも一般的な端末の操作は不自由なくしたが、専門的な知識は持っていなかった。当初、ナツがこの家のセキュリティシステムを黙らせて夜に抜け出していたことからも、システムに干渉することが可能だということが証明されている。  フユは驚くほどに狡猾に振舞った。     
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