第1章

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 「本当、 確かに妄想の産物ね。 こんなにスタイル良かったら、 私の人生も、 もうちょっと何 とかなってたかも」  遥は、 自虐的に言いながら、 目尻の涙を拭った。 武邑には、 それが笑いすぎて浮かんだ涙で はないように思えた。  「‥‥俺には、 こう見えたんだよ」  ポツリと呟く言葉に静かな熱意を感じて、 遥は笑うのを止めた。  「今日、 店に来てた人と、 別れ話してたことがあったでしょ」  武邑は、 古い記憶のページを捲った。  「二人が一緒にいるの、 店で何度か見かけたけど、 男と女って、 あんなにあっさりと別れら れるもんなのかって、 気になって見てたんだ。 そしたら、 他の男にナンパされて、 千倉さん、
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