第1章 スタート

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面接は1発OKで 恐らく、人材不足のおり、とんでもないヤツでない限り 合格なんだろうなぁ~~と思った。 いや、もしかしたら、この店なら 少々とんでもないヤツでも受かるのかもしれないな? 店は、雑貨屋みたいなオーナーとその娘有希さん、年の頃は35.6?いやもっといってるのかもしれない。 何度も言うがおばちゃんの年はわからねぇー。 独身でこの店の看板スタイリスト。オーナーの娘にしては、センスが良く、この店の中では俺は1番好きだな。 もう1人、俺の2つ先輩にあたるアシスタントの上村君24歳。彼はオネエの華道家仮屋崎に似ている為、 オーナーも有希さんもカーリーと呼ぶ。 本人的にはカーリーと呼ばれたくはないが、ロン毛は命だからやめれないらしい。 残りは忙しい時だけ手伝いに来る 昔従業員だった、パートのおばちゃんの田中さん。この人の歳も分からないけど、おそらく40代半ば? 本人は『ゴメンねー、私ポッチャリさんだから、すれ違う時気をつけて~っ、カラー剤とかロッドとか落としちゃうとあれじゃーん?』って言ってたけど ポッチャリを超えている。 あ、そうだ、俺は、生まれも育ちも福島。 美容師になる為に上京するまでは 友人の蒲田君と1度だけ 大田区蒲田に遊びに来た事があるだけで それ以外、東京に来た事はない。 蒲田君は、自分のルーツはきっと 大田区蒲田にあると思うんだと小学校の頃から言っていて、中学2年の時『謙吉、俺と蒲田に行ってくれ』と頼まれて 日曜日の朝、始発に乗って大田区蒲田に来た。 正直、蒲田君のルーツ的なものは何も無かったし、やみくもにルーツを探す旅って、所詮無理があるよなぁ~と俺は思ってたけど 始発から張り切ってる蒲田君にはそれは言えなかった。 俺たちは1日蒲田の街を歩いたけど、ただ疲れただけで、帰りの電車では、『マクドナルドってどこでもやっぱり同じ味なんだな』位しか、会話しなかった。
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