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向かいからやってくる二人。見た目は10代後半、男のキャラは背丈は170cmくらい。女の方は155cmといったところ。
対して俺の装備品は扇子のみ。開閉式で有効範囲は広がるがリーチが伸びるわけではない。素材は薄く切った竹に和紙を貼り、観音菩薩像の絵と金箔があしらわれた代物だ。税込み1296円。
また、これは戦闘用ではない。いざというときは勿論これで戦闘を迎えないといけないが、生憎俺には短刀スキルを何一つ習得などしていな為、二人がかりで襲ってきた場合は降参するしかない。
とはいえ、ここは現実世界。
俺と彼らの関係は『狩る-狩られる』間柄でもない。お互い干渉さえしなければ事が起こることなんてまずない。
回避不可の強制イベントなんてゲームの世界でさえなかなか起きない。強制イベントなんて頻繁に起きようものなら、運営側の鯖がパンクすることは不可避だ。
現実世界でも似たようなものだ。いちいち初見のプレイヤーに声をかけていれば、日なんてあっという間に暮れてしまう。
人間という生き物は、関心のあるもの以外は興味すら示さない。有限である時間をわざわざ割こうだなんて奴はいない。いても物好きな少数派だ。
「このままやり過ごそう」
波風を立てずに、ただ歩行だけしよう。会釈だなんてサービスは不要だ。
そのまま歩いているだけ。
ただ、歩いているだけなのに向こうが俺を見るなり声を出した。
「ねぇ、あいつ見てよ。超クレイジーなんですけど?!インスタ映えパナいよ!!」
「うわ・・・強すぎっしょ。俺でも勝てないわ」
ん゛!?
なんで俺チラチラ見られているんだ。
うわ、ちょ、ちょっと待ってくれ゛!俺、人と目があったの何年ぶりだ?普通に怖いんだが。。
もしかして、俺がひ弱な自宅警備員だってバレたのか?何故だ、何故気づいた?!
世間一般に流通していそうなジャージを着ているんだぞ?一般人と明らかに違うような動作をしていたのか俺。。
それとも限りなく空気化するまで存在を消した俺の認識阻害スキルをも凌ぐ、探索スキルの使い手か、こいつら。。
侮った。
人間と数年ぶりのエンカウント。対象2体。インスタバエとかいう意味不明な発言は多々あるが、敵視しているようにも見えない。
ってか、インスタバエってなんだ?ハエの一種か?まじでこいつら何言ってるかわからん。日本人じゃないのか!?
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