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「コマリ、誕生日おめでとう」 正樹くんはあたしが泣き止むタイミングをみて・・優しい声で言った。 あ・・忘れてた・・・今日の花火大会のことで頭が一杯で・・・・ん? 「な、なんで、正樹くんが知ってるの?」 あたしはびっくりして涙も・・引っ込んだ。 「橋屋に聞いた。夏祭りが始まってすぐ」 あ・・あたしは・・さっき正樹くん達とはぐれる前・・正樹くん達と加奈子が何やら楽しそうに話してる光景を思い出した。 ・・ほんとは・・・少しだけ・・加奈子に焼きもちを妬いてしまった。 そんな・・自分がこの上なく恥ずかしくて・・加奈子に申し訳なかった。 「今日はプレゼントないけど、今度の休みの日、デ―トしよう。プレゼント、そんときまでお預けな」 正樹くんの優しい言葉に・・胸が熱くなって・・止まってた涙が又、溢れ出してしまった。 「は?コマリ、また泣くのかよ?・・ほんと、おまえ・・泣き虫だな」 正樹くんは口では意地悪なことをいいながらも・・いつかみたいに・・あたしの涙を何度も何度も指で拭ってくれた。 正樹くんの優しい声や仕草に・・益々・・正樹くんへの思いが溢れていくばかりだった。 ほとんは、泣かないでちゃんと・・・言いたかった・・もう、プレゼントなら沢山もらったよ・・って。 正樹くんは・・好き・・って言う言葉より先に・・・優しい心を一杯くれた。 大事な人達にきちんと言葉で伝えよる・・大切さを気付かせてくれた。 あの日・・正樹くんが広げた腕の中に飛び込んだあたしを・・・本当に命がけで守ってくれた。 人を好きになる・・ときめきも切なさも・・全部、正樹くんが教えてくれた。 この涙が止まったら正樹くんに伝えよう。 好きになってくれてありがとう・・って。 あたしの恋は、あの鮮やかでキレイな花火のように今、大きく花開いた。 きっと、誕生日を迎える度、思い出すだろう・・あのキレイな花火と共に・・・愛しくて愛しくて堪らない・・・玲哉くんへの・・この胸の思いを。 日向コマリ、17才 ・・初恋です。 おしまい
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