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節子と合流した真琴は晃と別れ下宿先である芽依子の叔母、月子の家に向かった。
電車に揺られてバスに乗り換え、最寄りのバス停から山の中腹に有る家までは緩やかな坂が2人を待ち受けていた。
60歳をとうに過ぎた節子にとって、緩やかながら長く続く坂道は厳しいものだった。
月子の家から大学まで約一時間半。
近くはないが遠すぎるわけでもないその距離を卒業するまで通うことになる。
節子「真琴、やっぱり車通学にしたら?」
真琴「そうだね… この辺は暗くなればちょっと怖いかもしれない。」
坂の途中で息切れした節子は足を止め深呼吸を繰り返していた。
周りは木々に覆われ街灯はポツリポツリとしかないし、民家も点々としかないこの道を1人で歩くのは物騒かもしれない。
節子「ならやっぱり車が必要よね。 車っていくら位するのかしら。 おばーちゃん頑張って働くからね。」
真琴「大丈夫だよおばーちゃん。 俺は男なんだし、帰りはなるべく芽依子と一緒に帰るから。 それに車は自分で買うって決めてるんだ。」
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