恋愛どころじゃなかったんです!

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模擬店、劇に、展示に、クラスアート・・・ あぁ!“文化祭”って本当に素敵だと思う! なんだけど、私のクラスは・・・ 私-姫川愛華(ひめかわあいか)の通うココ、鈴蘭高校では今、1週間後に迫った鈴蘭高校文化祭、通称“鈴蘭祭”に向けて全クラスの生徒が出し物の準備作業に追われている。 そして勿論私のクラスも、出し物の劇に向けて練習をしているのだが… 「ちょっと、もう少しちゃんとやってくれない?」 役者は全くもってやる気なし。 今日までの準備だって一部の大道具担当の人間と監督である私、そして文化委員しか手伝わず、役者達は素知らぬ顔でさっさと帰ってしまっていた。 鈴蘭祭では劇は全クラスのうちたったの6クラスしか出来ないのだが、私のクラスは見事に企画書が通り晴れて劇の1枠をゲットした。そして目指すは二位まである入賞! …なのに。全然そんな様子は見られない。 本番はもうすぐだというのに。 そして今日も。 「役者、帰っちゃったね…」 やる気のない役者たちは、さっさと帰ってしまった。残ったのは私と文化委員の杉野綾佑(すぎのりょうすけ)くんと北本望琉(きたもとのえる)ちゃん、そして私の友達である蓮月海音(はづきしおん)の4人だけ。 「本当に有り得ないんだけど。何なのあいつら。」 「分かる、さっさと帰るとか、少しは手伝えって感じ。」 「まぁまぁ…2人の気持ちは分かるけどね。明日こそは残ってもらわないと…」 「それはそうと、姫、どうする?今日はどこまで進める?」 「あ、今日は昨日のうちに背景完成させたから小物作ろうと思ってて。杉野くん、お願いできる?」 「りょーかい」 帰ってしまったものはしょうがない。と私たちは気持ちを切り替えると黙々と作業を進め、予定以上の量をこなした。そして、明日こそは全員に残ってもらおうとそう言って教室をあとにした。 外に出るともう暗く、星がいくつか瞬いていた。 「明日は衣装合わせもあるし…みんな残ってくれるよね。」 ポツリと誰にともなくそう呟いて、私は夜道に向かって自転車のペダルを踏み込んだ。 そして、翌日衣装合わせが無事終わりどことなくほっとしていた時に、 --それは起こった。
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