0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
模擬店、劇に、展示に、クラスアート・・・
あぁ!“文化祭”って本当に素敵だと思う!
なんだけど、私のクラスは・・・
私-姫川愛華(ひめかわあいか)の通うココ、鈴蘭高校では今、1週間後に迫った鈴蘭高校文化祭、通称“鈴蘭祭”に向けて全クラスの生徒が出し物の準備作業に追われている。
そして勿論私のクラスも、出し物の劇に向けて練習をしているのだが…
「ちょっと、もう少しちゃんとやってくれない?」
役者は全くもってやる気なし。
今日までの準備だって一部の大道具担当の人間と監督である私、そして文化委員しか手伝わず、役者達は素知らぬ顔でさっさと帰ってしまっていた。
鈴蘭祭では劇は全クラスのうちたったの6クラスしか出来ないのだが、私のクラスは見事に企画書が通り晴れて劇の1枠をゲットした。そして目指すは二位まである入賞!
…なのに。全然そんな様子は見られない。
本番はもうすぐだというのに。
そして今日も。
「役者、帰っちゃったね…」
やる気のない役者たちは、さっさと帰ってしまった。残ったのは私と文化委員の杉野綾佑(すぎのりょうすけ)くんと北本望琉(きたもとのえる)ちゃん、そして私の友達である蓮月海音(はづきしおん)の4人だけ。
「本当に有り得ないんだけど。何なのあいつら。」
「分かる、さっさと帰るとか、少しは手伝えって感じ。」
「まぁまぁ…2人の気持ちは分かるけどね。明日こそは残ってもらわないと…」
「それはそうと、姫、どうする?今日はどこまで進める?」
「あ、今日は昨日のうちに背景完成させたから小物作ろうと思ってて。杉野くん、お願いできる?」
「りょーかい」
帰ってしまったものはしょうがない。と私たちは気持ちを切り替えると黙々と作業を進め、予定以上の量をこなした。そして、明日こそは全員に残ってもらおうとそう言って教室をあとにした。
外に出るともう暗く、星がいくつか瞬いていた。
「明日は衣装合わせもあるし…みんな残ってくれるよね。」
ポツリと誰にともなくそう呟いて、私は夜道に向かって自転車のペダルを踏み込んだ。
そして、翌日衣装合わせが無事終わりどことなくほっとしていた時に、
--それは起こった。
最初のコメントを投稿しよう!