初めまして非日常

20/21
2013人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
 持った感じは夏祭りに屋台で売っているようなお面となんら変わりない。そんな仮面を普通に顔につける。  するとガシャンガシャンとハイテクな音と共に、仮面はフルフェイスヘルメットのように形を変えていき、俺の頭を覆う。  視界が確保できる覗き穴しか穴はないが、特に息苦しさも感じないし、匂いも分かるし、音も聞こえる。  あれ、なにこれすげーハイテクじゃない? 「ああ、何度見ても素晴らしい魔法ですわね。本当、癒されますわ」  恍惚の表情を浮かべるロロットはまっすぐに俺の仮面を見ている。ってかこれ魔法の類なのか。 「それよかこれどーやって外すんだってか、なんか俺の声がおかしい……?」  仮面越しの俺の声はどこか低く、何かこもっているような……なんというか拡声器を通して喋っているような感じだ。 「実はその仮面、声の高さを変える魔法もかけられていますの。荒くれ者は警備兵に捕まらないため、この魔法を使って強盗を働くらしいですわよ?」 「ものすごくブラックな魔法だねこれ」 「ちなみに外す時は首の後ろのスイッチを押すと魔法が解除されて普通の仮面に戻りますわ」  首の後ろを軽くまさぐると、スイッチのような突起を触る。つまりこれが解除スイッチってわけか。 「それにしても懐かしいですの。わたくしもその仮面をつけてガイを驚かせたりしたものですわ。  知っていて? ああ見えてガイはものすごく怖がりですのよ?」  ……まぁ確かにああみえて、だね。だってガイさん、ガイコツだし。  ていうか、ロロットこの仮面つけて遊んでたのか。というか……これっていわゆる間接なんたら?  なんだろう。異世界に来てロロットの元で働けてよかったって心から思える。 いや、別に間接なんたらのせいじゃないよ?
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!