勇者になった彼らの行動

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「いや飯山、辛そうだよ? 王都までまだかかるって言ってたし、一度休んだほうがいいって」  ゼェゼェと息を切らす達彦を心配しながら良太の横を歩くサイドテールの女性は渡邊 川瀬。  アリの魔物の被害に遭っていた農村付近に転移させられ、良太たちが魔物を全滅させた後に合流した勇者だ。 「川瀬の言う通りだと思うぞ、達彦。休んだほうがいい」 「いや、でもこれから僕たちは魔王を倒すんでしょ? これくらい普通にしておかなきゃ」  そうは言う達彦だが、身体は既に限界を迎えているようで座り込んでしまう。 「達彦の身体は休みたいらしいな。じゃあここらで休憩を取ろう。大丈夫か?」  良太は農村の村長から貰ったウエストポーチから木でできた水筒を取り出し、達彦に渡す。 「ごめん……ありがとう」 「詳しくは知らないけど、疲労回復にはゆっくり飲んだほうがいいらしい」  水筒を受け取った達彦は喉を鳴らしながらゆっくりと水分を補給していく。 「それにしても、今日中に王都に着くかどうか微妙な感じだね?」  地図を見ながら、王都の方を指差す川瀬は小さく呟いた。  平原の向こうに霞んで見えるのは、魔物の侵攻を防ぐためのような高い城壁。つまりあそこがエリュトロスで一番大きな都市、王都。 「最悪は野宿で過ごすしかないな。三人で交代しながら仮眠をとればなんとかなると思うんだが……」 「確かにそうかもしれないね、でもでもなんとかなるよ! 幸いこの平原の魔物はそんなに強くないみたいだし!」  水分補給が終わった達彦は水筒を良太に返したあと、顎に手を当てて考える。
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