君は、明日の夢を

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 反射的に抵抗してくる両手を押さえつけ、かまわず、音をたてて皮膚を吸えば、甘い喘ぎ声が僕の感覚器官を振るわせた。 「このまま、君を男として抱けばいいのかい?」  意地の悪い質問だったのかもしれない。  ミナイは羞恥を誤魔化すよう星が瞬き始めた空に視線をやって、小さく頷いた。 「恥ずかしがらなくたっていいんだよ、別段、珍しいことじゃあない」  僕の性別を、男として設定したのはミナイだ。  ナビゲーションの仮想体は、パイロットの性思考に左右される場合が多い。容姿がデフォルトのままだったのは、ミナイのなけなしの意地か、良心だったのかもしれない。抱いた恋心を気づかないようにするための、おまじないのように。  恥ずかしがるミナイをあやすよう頭を撫で、僕は制服の襟を頬で押しのけ、首筋にキスをした。 「……んっ、ナイン」 「大丈夫、上手くやれるよ。ミナイ、深く繋がりあおう。これから先、ずっと離れずに二人で生きて行けるように」  抱きしめて、制服を丁寧に脱がしてゆく。作りたての肌はやはり敏感で、少し触っただけでも可愛らしい反応を見せてくる。 「ミナイ、お願いがある」 「珍しいな、ナビゲーションからリクエストしてくるなんて」  たしかに、どちらかといえば、僕がお願いをされる立場だ。なんだか、貴重な機会を得た気分になってくる。     
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