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私からあなたへの最大の復讐は、自らの命を絶つことです。
あなたが、わたしの愛情を拒んだことをのたうちまわって後悔し、わたしの亡霊に苦しむ姿を想像すると、わたしの全身の血潮が歓喜するのです。
これが不器用すぎる私の、最後の愛の告白です。
―
「・・・・・。」
目を凝らして、文を何度も読み返す。
そこには、いつも明るかった彼女からは想像もつかない激しい文が書かれていた。
「・・何ですか。これ。」
思わず、率直な感想を言ってしまった。
「・・お付き合いしている人と、何かのトラブルがあったのかも知れない。だがそんな素振りも全くなかった。」
彼女の父は、疲れた表情のまま、話を続ける。
「迷惑だとは思ったが、何か君に心当たりはないかと思って。すまない。」
生気の抜けた老顔に、やり場のない悲しみと、絶望に満ちた痛々しい表情が浮かぶ。
親友の父が持っていた、不可解な、最期の手紙の文面。
私は黙って、その手紙に目を落とし続けていた。
***********
彼女について、思いを馳せる。
私が、初めて彼女と出会ったのは高校の入学式だった。
出席番号の関係で偶然隣になった、背の高い、襟足まで伸ばした少し短い髪。
可愛いというよりかは、ハンサムというという言葉が似合う少女だった。
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