本屋さんと覗き魔

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本屋さんと覗き魔

 春先の人魚書店はほんのり汗のにおいが漂う。  目の前にある大学と提携して教科書の委託を行っているため、この時期は新カリキュラムに応じた本の入れ替えで力作業が増えるからだ。  そのうえ初春から梅雨前まではバイトの学生も入れ替わりで少ないため、店主の読子も大忙しになる。  この日も本の入れ替えを行った読子は汗にまみれていた。 「先にお風呂を頂いちゃうから、よろしくね」  まだ夕方の時間だが汗に濡れた読子は風呂に入ることとした。  店番がいれば自分は居なくても充分だろう。  汗が染みた自慢のローブを脱ぎ捨てると読子は下着一枚の姿になる。程よい大きさの乳房は張りが良い。 「うへぇ、今日はまた一段と汗をかいたわね」  汗はブラやショーツまで染みていた。  脱ぎたてをそのまま洗濯槽に入れると読子は一糸まとわぬまま浴室に入る。  濡れた目元で前をふさがれないように掻き上げた前髪で読子のおでこがあらわになった。  ふんふんと鼻歌交じりでシャワーを浴びる読子だったのだが、そんな無防備な彼女を狙う影が風呂場を覗く。 「花澤さんじゃないのは残念だが……誰だ、あの美人?」     
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