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「こっ、こちらこそ、ごちそうさまでした。佐々木さんにもよろしくお伝えください」
私はにっこりと笑顔を作る。
「そうだな。伝えておく」
部長は少しだけ口角を上げ、鼻の横を擦った。
(これは……嬉しい……方なのかな?)
汗がほほを伝う。そろそろ会社に行って涼んだ方が良さそうだ。そこでふと思い出した
ことを口にする。
「部長。今日、車はどうしたんですか?」
部長は眉間にシワを寄せた。
「もちろん、乗ってきた」
「どこに置いたんです?」
部長はシワを深くする。
「会社の駐車場に決まってるだろう」
「え? だって」
私は駅から公園を経由して出社しているが、部長は車で出社したのなら、車を置いてわざわざ公園まで歩いてきたことになる。
部長は立ち上がって、正面を向いたまま応えた。
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