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心理学者の神崎は、以前よりマインドコントロールと洗脳の研究を行ってきた。
マインドコントロールと言うのは、人間の思考回路特性や深層心理に働きかけて自分の意志に沿った行動を他人に行わせる事だ。
これを利用した解りやすい例が、最近テレビでも話題になっている、メンタリストタレントである。
これを更に深化させたのが、催眠術だ。
催眠術は、別に不思議な力が備わった者のみが行うことができるオカルトの類ではない。
掛けやすい人間に対して、心理学の理論に基づいて施術し、科学的に催眠状態に導いているだけだ。
過去に神崎が行った催眠術の実験で、簡単に仕組みを説明すると…
迷信を信じやすい被験者に「自分には不思議な力が備わっている」と名乗る男(神崎)が「催眠術を掛けて上げましょう」と声を掛けて実験をする。
この時、クリーニング屋に洋服を出すと仕上がった時に付いてくる、針金で出来たハンガーを神崎が用意して、被験者に手渡す。
そしてハンガーのフックになっている方が左に来るように、ハンガーをコメカミまで被らせるのだ。
被験者がハンガーをコメカミまで被った瞬間に、被験者の眉間に人差し指をかざしていた神崎は、その人差し指を右へと移動させる。(被験者にとっては左方向)
するとその指に合わせたように、被験者は指が移動した方向に首を横へ向けたのだった。
すかさず神崎は、
「私の催眠術で、貴方に首を振らせる事が出来ました」
と告げるのだった。
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