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「聞いてんの、ラドォ?」
マリリンが、羨望している、ラドの癖っ毛なブロンドを引く。不精で伸ばされた髪は、後ろでひとつに束ねられていた。
「聞いてる。けど、俺は今、眠い。デデンに着く三分前に起こしてくれ、プラチナ」
そう言って、年齢にしては童顔なライムグリーンの瞳を閉じる。
「愛してるぜ、プラチナ」
「私も愛しています、ラドラム。…おやすみなさい」
毎度繰り返されるその応酬に、ロディマスが苦虫を噛み潰したように顔を顰めた。
「変態。生身の女より、人工知能が良いってか」
「ああ。プラチナは嘘を吐かないし、余計なお喋りもしないしな……」
後の方は、寝息まじりに溶けていた。
マリリンとロディマスは、顔を見合わせて吐息する。
宇宙船ブラックレオパード号は、便利屋を営んでいた。
いつも、「次の惑星でデカい仕事が入るから、給料が払える」とほだされラドラムに着いて行くのだが、その約束が果たされるのは、五分五分といった所だった。
寝息を立て始めるラドラムに、マリリンとロディマスは諦めて、自分たちも艦橋の定位置に戻って、デデンで待っているという『デカい仕事』に備えて、惑星の情報収集を始めたのだった。
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