私と、本屋さんと、私。

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 本屋さん。  専門的な本屋さんから、大型スーパーや百貨店の一角にある、小さな本屋さん。  本屋さんはいろんなところにあって、私は、物心つく頃には、本屋さんが生活の一部になっていた。  まだ小学校に上がる前は、両親の集めていた色んな本を見るだけで楽しかった。  小学校にあがると、小さな本屋さんで自分のお気に入りを探すようになった。  内容が理解出来なくても、見ているだけで楽しかった。  高学年になってくると、流行りのマンガ雑誌を毎週、毎月の楽しみにするようになった。  クラスメイトとマンガ雑誌の連載物で会話がはずみ、コミニュケーションの輪が広がっていくのを感じた。  そして、発売日がいつも楽しみになっていた。  いつからだったのか自覚はなかったけれど、いつしか恋愛ものも読むようになった。  好きなひとの行動に一喜一憂する主人公に、自分を重ねて想像するのが楽しかった。  本が好きな私は、この頃から――物語を想像するようになった。  大学生になって、初めて小説の投稿をした。  応募者に評価シートが届けられて、物語を作る楽しさを憶えた。  ――本屋さんは、いつも私の人生の側に、いた。  そして今、私はこうして生きている。  本屋さんで出会った、たくさんの本。  感動も、喜びも、時には涙することもあった。  そこには、私にとって要らない本は1つもなかった。  どんな本にも、読むことによって新しい発見が見つかり、更なる知識の糧になった。  本屋さんで出会った、数多の本。  読んだ数だけ出会いがあり、知らなかった世界が広がって行くのを感じた。  私は今、キーボードを叩いて文章を作っている。  学生の頃から始めた執筆活動は、今も続いている。ライフワークそのもの――と言ってもいい。  職業は、作家と呼ばれている。  そう、本屋さんに置かれるもの――本の原稿を書いている。  私は今も、本屋さんに足を運ぶ日々は続いている。  置いてもらって、関心をもってもらえた人に買ってもらって、生活しているから、ではない。  年を重ねた今でも、新たな発見が尽きることも無い。  本屋さんがあるから、今の私がいる。  本が、私の記憶、そして記録。  そう、それは私の人生の縮図そのものだった。    本屋さんは、いつでもすぐ側に、ある。  いろんな出会いと、感動のときを静かにたたずんで待っている――。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!