森の餌食 ~毒虫に卵を産み付けられちゃいました~

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次にやってきたのは巨大な蝶だった。 それは足の間にとまったかと思えば、口の管をストロー状に伸ばし、性器の尖端から差し入れてきた。 「っ、やめ…っ……」 しかし言葉の通じる相手ではない。 身体の大きさに見合って太さも長さもあるそれは、どんどんと奥に入ってくる。 「あ…ぁ…ぁ…………そんな…ところ…まで……ムリ………」 そして目的の場所まで到達できたらしいそれは、まるで花の蜜を吸うかのように彼から精液を吸い上げていった。 強制的に引き摺り出される快感。 彼の唇からは切ない喘ぎ声が零れ落ちる。 これ以上でないというところまで吸い尽くしたのち、蝶はゆるゆると尿道をかき混ぜながらゆっくりとストローを引き抜いていった。 ぐったりと身体を弛緩させた彼は、ぼんやりと虚空を見詰める。 内部を直接探られて神経が焼き切れそうだった。 そして蝶ももう用は終えたのか、そのまま何処かへと飛び去っていった。 次に彼の瞳に飛び込んできたのは、人間と変わらないくらいの大きさの蜂――のようなものであった。 彼の意識は一瞬にして現実に引き戻された。 ――怖い! しかし、身体は重い。 今更逃げたところでもう間に合わないだろう。 それに、どうせ何か恥ずかしいこと――それも自分にとってだけで、相手にはただの食事――をされるだけなのだ。 彼は観念して耐えようと思った。 巨大な蜂が目を付けたのは、彼のお尻の穴だった。 慎ましい窄まりに毒針を宛がい、根元まで潜り込ませて完全に合体させる。 その瞬間、彼は体内に何らかの液体が叩き付けられるのを感じた。 「うぅ……」 腸壁から吸収されるそれ。 麻酔作用のある毒だったのか、身体は痺れて完全に動けなくなった。 ――終わったんだったら、早くどこかへ行ってくれないだろうか そう思っていると、直腸の中に『形ある何か』が送り込まれるのを感じた。 ――? 彼は心の中で首を傾げる。 そして二つ目を送り込まれたとき、彼は限りなく正解に辿り着いた気がした。 角のない、それ。 卵以外にはあり得なかった。
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