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「・・・・・・そのことを俺が知ったら嫌われると思ったの?」  殴られたように硬直し、ぎゅっと目をつぶる優一を、隆彰はそっと抱き寄せた。 「ーー好きだよ。夕べから何度も言ってるのに、まだ信じてくんないの?」  隆彰の腕の中で、優一がはっとしたように顔を上げた。その瞳はいま聞いた言葉が嘘ではないかという恐れと、聞き間違いじゃない、信じていいのだろうかと願う気持ちで、いじらしいほどに揺れていた。 「遊園地も、動物園も、いままで優一が行ったことがない場所全部、一緒に行こう。優一が願ったこと、これから全部俺と一緒に叶えよう。だから俺のこと好きだと言って? 俺だけを好きだと、これからもずっと側にいると言って?」  優一の唇がふるふると震えた。これ以上ないくらいに大きく見開かれた瞳から涙が伝う。 「ーー好き。ずっと好きだった・・・・・・」  ようやく聞けた優一からの告白に、隆彰は微笑んだ。子どものような顔をして、ぽろぽろと涙をこぼす優一にキスをする。長い睫毛にきらきらと光る宝石のような滴をため、じっと隆彰を見つめる優一の瞼がゆっくりと伏せられた。  窓の外で電線に積もった雪が、ドサッと落ちる音が聞こえた。  まずはキスをしよう。そして、優一がうんざりするほど抱きしめてから、最初はどこへいこうかーー。  もう二度と離すことはできない。それは、胸が震えるくらいに幸福なことだった。  腕の中で安心しきったようにその身体を預ける愛しくてたまらない存在を、隆彰はそっと抱きしめた。 END
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