生徒会長 計都

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「あ、あのね!今度の文化祭の各クラスの出し物の希望を纏めて収支の予想を算出してみたから、一度計都君に見て貰おうと思って!」  どもりながら用件を伝えると、それを聞いた計都君の顔がパァッと華やぐ。 「さすが吾妻さんだね!相変わらず仕事早いなぁ♪ウチの生徒会会計は優秀だよね~。それじゃ早速見させてね」  そう言いながら窓際から私の方へ近寄ってくる計都君。  私は反射的に一歩後ずさり、背中を仰け反らせる。  元々恥ずかしがり屋の私にとって、男子が近くに来ること自体が挙動不審の原因になってしまうのに……それが計都君ともなれば、顔から火が出そうになってしまって思わずその場から逃げ出したい衝動に襲われる。  そんな私を見て、計都君はその大きな瞳をパチクリさせた後、ニッコリと微笑んだ。 「あ、ゴメンゴメン。ちょっと急に近付き過ぎちゃったかな。えっと……ゆっくりで良いから、その書類渡して貰っていいかな?」  そう言って私が胸元に固く抱き締めている書類を見てくる。  おずおずと差し出すと丁寧にゆっくりと受け取って「ありがとう」とまたニッコリと笑ってくれた。 「そ、それじゃ確認お願いします!」  ドギマギしながらそれだけ言うと、私は(きびす)を返し生徒会室のドアの方へと駆けだした。
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