叶わない約束

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「一ノ瀬さん。始めますので手術室へ案内します」 「…はい」 「由希…」 「大丈夫!」 私は俊にピースサインを見せて手術室へ向かった。 すぐ隣を俊がついてきてくれる。 「このドアの向こうからは殺菌室になりますのでここでスリッパを脱いで中へお入り下さい」 「はい」 私は中に入った。 振り向いたら俊が立ってた。 強く拳を握ってしっかり私の方を見てた。 ドアが閉まるまでずっと… 私は最後に俊に微笑んだ。 俊の目には涙が浮かんでた。 手術着に着替えて手術台へと促され私は横になった。 「麻酔をかけますがたまに麻酔をかけても無意識に暴れてしまう方がいますので念のため手足を縛りますから」 「はい…」 私は手足を縛られた… 惨め… こんな格好で… 「じゃあ麻酔をかけますから1から数字を数えて下さい」 「はい」 赤ちゃん… ごめんね… 麻酔を打たれた… 赤ちゃん… 大切な事 教えてくれてありがとう… 君は最高の天使だったよ… バイバイ… 赤ちゃん… 守ってあげられなくて ごめんね… 「1。2。3。4…5……6………」 そのまま意識を失った。
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