2021年(令和3年)12月

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こうして最終決戦進出の3組が決まった。 まずは『R-1ぐらんぷり』覇者の中落ち名月 粗大。昨年は『M-1』も獲っている賞レースの申し子、『笑王戦』も制し三冠達成なるかー。 続いて今年の『M-1グランプリ』王者・ミルクキッド。"リターン漫才"の面白さを見せつけ今最も勢いのあるコンビが、真のお笑い日本一を目指す。 そして『女芸人No.1決定戦 THE W 』女王・3時のプリンセス。二人で臨んだファーストラウンドを何とか乗り切り、最終決戦の舞台へ。果たして、ネタはあるのかー。 ステージには、すでに3組が揃っている。皆、緊張感溢れる表情ー。 「さあ松友さん。最終決戦のネタをやる順番ですが、台本には『大会名誉会長である島尾修助さんに決めて頂く』となっていますが、どうするの?ホンマにこのシャクレに決めさすの?」 浜野が問う。 「シャクレ言うな!兄やんやぞ?大先輩やぞ?」 松友が笑い転げながら反論。 「知るかボケ!あんなしょうもないネタやりやがって……。おいシャクレ!早よ決めろ」 どうやら半分くらいは、本気で怒っているようである。 「浜野ー」 シャクレが呼びかける。 「あ?!」 「素敵やん」 ニンマリとして言った。 「ええから早よ決めろやボケ!」 勝負においてネタをやる順番は、かなり重要である。できれば1番目、初っパナは避けたい。 ましてや二人で臨む3時のプリンセス、最終決戦でやる予定だったネタを、さっきやってしまっている。 考える時間がほしい。願わくば最後、3番目ー。 麻実は祈るような思いでシャクレ、いや修助を見つめる。 お願い、修助さん……。 「うーん、そやな…」 審査員席、書類に目を落としながら、修助は口を開いた。
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