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心ノボル 1
突然だが皆さんは、『狐憑き』という言葉を聞いたことがあるだろうか?
辞書によると次のように出てくる。
狐が乗り移って起るという一種の精神異常。また、その状態の人。
(新潮社『新潮国語辞典 第二版』)
すなわち、狐の霊に取り憑かれて行動が狐のようになってしまった人の事をいうらしい。なぜこんな事を突然聞いたのか。それは、何を隠そうこの俺――松江(まつえ)昇(のぼる)――が狐憑きだからである。いや、この表現では語弊を生んでしまうだろう。実際、狐は俺には憑いていない。
俺が狐に憑いているのだから。
どうしてこうなったのだろう。
少しだけ今日の出来事を振り返ってみる。さて、どこから思い出したら良いだろうか。
始まりとしてはそう、放課後の教室からだろうか。
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