ほしかっただけ

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――このカードさえあればなんでも好きな物が買えるんだ。 彰は、ママのバッグをあさり、財布を取り出すと青いカードを取り出した。 ママとの買い物で、レジで会計をするときに使っているのを何度となくみたことがある。 だからこれがあればなんでも好きなものが買える。 こないだ、センタイモンカーのマジックナイフをねだったのにママは買ってくれなかった。 「誕生日に買ってあげるから。」 「誕生日はまだ先だよ。」 「1か月なんてあっという間よ。」 ママは分かっていない。ほしいのは今なのだ。1ヶ月後にはまたべつのセンタイモンカーが増えているから今出ているものでは、保育園では遊べなくなる。遊べなくなると自動的に仲間はずれになってしまう。 子供の世界は案外厳しく、一度、仲間はずれになってしまうとその輪の中に戻るのは至難の技だ。 だからこそほしかったのに、ママは分かってくれない。 わかってくれないのならば、自分で買えばいいんだ。 包丁を眠っているママのお腹に落とすと、たくさんの血が流れてママはびくびくとはねたあと動かなくなった。 これで大丈夫。邪魔な者はいなくなった。 彰は満面の笑みを浮かべた。
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